派遣OLの退屈な毎日

30歳派遣OLの日常を日記風に書きます

幼稚園卒園式

幼稚園卒園式の日、クラスの教室の後ろの壁に、色とりどりの色紙で切り取られた風船が沢山飛んでいた。先生が用意してくれた装飾だった。

風船はクラスの園児達が旅立って行く小学校ごとに作られていて、学校の名前とその学校に入学する園児の名前が書いてあった。

当然地域の幼稚園なので、近辺にある小学校の名前ばかりで、風船にも複数の名前が記されていた。主な学校の風船には園児の名前がぎっしり詰まって、名前だらけになっていた。


卒園式の後、沢山の園児が母親と手を繋ぎながら自分の名前を探して、誰それと同じ小学校なんだと盛り上がっていた。

私は、私の行く「みなみしょうがっこう」の名前と私の名前だけが書かれた風船を見つけた。卒園と共に遠くに引っ越す事になっていたので、皆の風船には入らなかった。母が「1人だけになるねえ、頑張らないとね」と言った。私はこの時「1人」という意味を強烈に理解した。沢山の名前が入った風船たちに私は入る事ができず、私は私1人で新しい場所に行かないといけない。同じ小学校だと笑い合ってる子達の横で、もうあの子達と私は違うのだと思った。私はひとりだ。

そして私は1人で空に飛び立った。