今流行っているイタリアが舞台の同性愛映画を観た。久しぶりの映画館で、映画に集中したかったのに、最近の私生活の嫌な事ばかりが思い出されて映画の内容に関係なく三回泣いた。映画は退屈で、何がそんなに皆の賞賛を浴びているのかよくわからなかった。愛…
都内に住む友人が満開に咲いた桜の写真を送ってきた。あちらではもう桜が見頃らしい。昔は三月末から四月にかけては、終わりと始まりという雰囲気があって、妙な感情が沸き起こることが多かった。風は冷たくても日差しは眩しくて、どこか悲しかった。今はも…
結婚しないのかとか、彼氏はいないのか、というのをどこにいても決まって聞かれる。もうずっと彼氏もいないし、結婚する予定もないと言うと、そこで話が終わることもなく、そういう嘘なんでしょうとか、同性が好きなのかとか皆して私と何かを結びつけたがる…
大学生の時初めて彼氏が出来た。同じ学科の人だった。女子校育ちで男性との距離の取り方がわかっていなくて、何かの話題でご飯を作りに行ってあげるよと言ったら、男の家に簡単に行くものではないと怒られた。それで彼の家には一度も行く事がなかった。10代…
幼稚園卒園式の日、クラスの教室の後ろの壁に、色とりどりの色紙で切り取られた風船が沢山飛んでいた。先生が用意してくれた装飾だった。風船はクラスの園児達が旅立って行く小学校ごとに作られていて、学校の名前とその学校に入学する園児の名前が書いてあ…
14歳ぐらいの子みたいと言われた。昼間はあんなに眠いのに夜になるとすっかり目が覚めてちっとも眠れないというのをもう10代の頃から続けている。クラスの子達が楽しそうに笑っているけど何が楽しいのかわからない。今も会社の女の人たちの雑談はとても退屈…
誰か悪い人が家に来ようとしてる。二階にいる私は家の玄関の鍵を閉めにあわてて一階へ降りる。「鍵をかけなきゃ」という強烈な焦りが夢の中で充満する。玄関の鍵をかける。窓が開いてるかもしれないと窓の鍵をかける。悪い人はすぐ外にいる…という夢を最近何…
派遣の給料だけじゃ生きていけないから、アルバイトしようと思って検索していたらだんだんバカらしくなってきた。自由な時間がほしくて派遣になったのに結果生活できなくてバイトするなら派遣を選んだ意味もない。ポールのバイトが良かったけれど、そんな都…
人生で一番好きな時間を問われたら深夜発の飛行機に乗っている時と答える。街の光が少し落ちついた深夜の車一つ一つの動き。道を教えるオレンジの街灯。昼間は汚い東京が闇に消されて光だけが浮いている。斜め上からゆっくり凱旋しながら眺めていると生きて…
中学から高校にかけて江國香織の本ばかり読んでいた時期がある。彼女の本は劇的な話の変化もなく、淡々としていたからあまり内容についての記憶がない。それでも文章から漂う大人の香りが好きだった事は覚えている。恋愛の経験なんてないけれど、江國香織の…
17歳の頃、音大に進むか美大に進むか悩んだ時期があった。ピアノをずっとやっていたから、音楽の先生は私に音大を受けさせたいという密かな希望を持っていて、音大受験を度々勧めてきた。17歳の私は、自分の伸び代が見えない美大を取った。ピアノは普通の人…
友達に会いたかった。特別絆が深いわけでもないし、喋る話題もない関係だけど、同じ大学で同じゼミにいた友達は、私が何しても許してくれる数少ない友達だった。たまたま見たvogueかELLEかで紹介されてたコンラッド東京のアフタヌーンティーに誘ってすぐにい…
駅のホームで電車を待っていると、考え事をよくする。明日からまた平日で、会社の何も楽しく無い仕事の時間が待っている。生きるためにはお金が必要で、お金を貰うために働くしかないけれど、こんなつまらなくてしんどい思いをしてまでお金を貰わなきゃいけ…
六本木はたいした思い入れもない場所だけど、日比谷線六本木駅から六本木ヒルズへ通るエスカレーターの吹き抜け空間だけは宇宙みたいでいつも高揚する。特に夜は、闇夜が透けたガラス張りの中で、大きなパネルから流れる浮遊感のあるコマーシャル音とエスカ…