派遣OLの退屈な毎日

30歳派遣OLの日常を日記風に書きます

江國香織

中学から高校にかけて江國香織の本ばかり読んでいた時期がある。

彼女の本は劇的な話の変化もなく、淡々としていたからあまり内容についての記憶がない。それでも文章から漂う大人の香りが好きだった事は覚えている。

恋愛の経験なんてないけれど、江國香織の本を読むと大人の香りを身体に少しだけ纏う事ができて気に入っていた。隣の男子校について馬鹿みたいに騒ぐクラスの女の子よりよっぽど自分が優れていると自惚れていた。


彼女の本を読むのをやめたのは突然だった。高校に入って塾に通い始めた時、個人指導をするアルバイトの男子大学生に本を読むのが好きと伝えると「江國香織が好きでしょう?」と言われた。私は本が好きとしか言わなかったのでとても驚いた。江國香織の本の強烈な香りに私が麻痺してるんだと気がついた。もうそれがどんな香りなのかよくわからなくなっていた。私は怖くなって、その日から彼女の本を読むのをぱたりとやめた。